笑いのカイブツ

岡山天音 片岡礼子 松本穂香 前原滉 板橋駿谷 淡梨 前田旺志郎 松角洋平 管勇毅 菅田将暉 仲野太賀 監督:滝本憲吾 原作:ツチヤタカユキ『笑いのカイブツ』(文春文庫刊) 脚本:滝本憲吾、足立紳、山口智之、成宏基 エグゼクティブプロデューサー:成宏基 プロデューサー:前原美野里 音楽:村山☆潤 撮影:鎌苅洋一 照明:神野宏賢、秋山恵二郎 美術:安藤秀敏、菊地実幸 装飾:岩井健志 録音:齋藤泰陽、藤本賢一 衣裳:馬場恭子 ヘアメイク:楮山理恵 編集:村上雅樹 助監督:齊藤勇起 制作担当:後藤一郎 宣伝写真:三宅英文  企画・制作・プロデュース:アニモプロデュース  企画協力:文藝春秋 製作:「笑いのカイブツ」製作委員会 配給:ショウゲート、アニモプロデュース  宣伝協力:SUNDAE ©︎2023「笑いのカイブツ」製作委員会 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会 2023年/日本/アメリカンビスタ/5.1ch/カラー/116分
単なる奇人か、稀代の天才か。大喜利「レジェンド」、ハガキ職人、構成作家─。笑いに取り憑かれた男の類い稀なる半生。
何をするにも不器用。人間関係も不得意なツチヤタカユキの生きがいは、「レジェンド」になるためにテレビの大喜利番組にネタを投稿すること。5秒に1本。狂ったように毎日ネタを考え続けて6年。その実力が認められ、念願叶ってお笑い劇場の作家見習いになる。しかし、笑いだけを追求し、他者と交わらずに常識から逸脱した行動をとり続けるツチヤは周囲から理解されず、志半ばで劇場を去ることになる。自暴自棄になりながらも笑いを諦め切れずに、ラジオ番組にネタを投稿する“ハガキ職人”として再起をかけると、次第に注目を集め、尊敬する芸人・西寺から声が掛かる。ツチヤは構成作家を目指し、意を決して大阪から上京するが─。情熱や努力だけでは上手くいかない現実。不器用にしか生きられないもどかしさを抱えて傷だらけになりながらも、自分の信じる道を猛進するツチヤとその熱量に突き動かされていく人たち─。観る者の魂に突き刺さる、圧倒的な人間ドラマが誕生した。
単なる奇人か、稀代の天才か。大喜利「レジェンド」、ハガキ職人、構成作家─。笑いに取り憑かれた男の類い稀なる半生。
原作はWebメディア「cakes(ケイクス)」の連載で熱狂的に支持され、書籍化されたツチヤタカユキ氏による同名私小説。テレビ番組「着信御礼! ケータイ大喜利」で最高位「レジェンド」の称号を獲得。その後、ラジオ番組や雑誌へのネタ投稿で圧倒的な採用回数を誇り、“伝説のハガキ職人”と呼ばれた実在の人物の痛いほどに純粋で激烈な半生を、本作で満を持しての長編商業映画デビューを果たす気鋭・滝本憲吾監督が映画化する。
主人公のツチヤを演じるのは話題作への出演が続く、実力派俳優・岡山天音。さらに、ツチヤの才能を見出し、東京へと呼び寄せる人気芸人ベーコンズの西寺を仲野太賀、全く異なる境遇ながらツチヤと意気投合するピンクを菅田将暉、ツチヤが想いを寄せるヒロインのミカコを松本穂香、ツチヤのおかんを片岡礼子が演じるなど日本映画界に欠かせない名優たちが集結し、驚異的なアンサンブルで観る者を物語へと引き込む。また、脚本を日本アカデミー賞最優秀脚本賞など数々の賞に輝く足立紳(『百円の恋』)と、山口智之(『きばいやんせ! 私』)、撮影を鎌苅洋一(『花束みたいな恋をした』)、音楽を村山☆潤が手掛けるなど、精鋭スタッフ陣が集結。細部にまでこだわり抜かれた映像と世界観でツチヤタカユキの唯一無二の半生を映し出す。
大阪。何をするにも不器用で人間関係も不得意な16歳のツチヤタカユキの生きがいは、「レジェンド」になるためにテレビの大喜利番組にネタを投稿すること。狂ったように毎日ネタを考え続けて6年——。自作のネタ100本を携えて訪れたお笑い劇場で、その才能が認められ、念願叶って作家見習いになる。しかし、笑いだけを追求し、他者と交わらずに常識から逸脱した行動をとり続けるツチヤは周囲から理解されず、志半ばで劇場を去ることに。

自暴自棄になりながらも笑いを諦め切れずに、ラジオ番組にネタを投稿する“ハガキ職人”として再起をかけると、次第に注目を集め、尊敬する芸人・西寺から声が掛かる。ツチヤは構成作家を目指し、上京を決意するが——。
岡山天音
1994年6月17日生まれ、東京都出身。2009年、NHK「中学生日記」にて俳優デビュー。2017年公開『ポエトリーエンジェル』(飯塚俊光監督)で第32回高崎映画祭最優秀新進男優賞、2018年公開『愛の病』(吉田浩太監督)でASIAN FILM FESTIVAL最優秀男優賞を受賞。主な出演作に、『新聞記者』(19/藤井道人監督)、『王様になれ』(19/オクイシュージ監督)、『青くて痛くて脆い』(20/狩山俊輔監督)、『FUNNY BUNNY』(21/飯塚健監督)、『キングダム2 遥かなる大地へ』(22/佐藤信介監督)、『さかなのこ』(22/沖田修一監督)、『沈黙のパレード』(22/西谷弘監督)、『あの娘は知らない』(22/井樫彩監督)、『BLUE GIANT』(23/立川譲監督)、『キングダム 運命の炎』(23/佐藤信介監督)など。待機作として、『ある閉ざされた雪の山荘で』(24/飯塚健監督)がある。
原作者であり、僕が演じた役でもあるツチヤタカユキの渦は苛烈で、引き裂かれそうになる日々でした。なんとか生き延びて今日にいます。チームの皆様のおかげです。キャストの中にはこれまで間近で背中を見て来た方もいらっしゃり、今作でご一緒できたこと、言葉にならない感慨でいっぱいです。そして滝本監督の初長編監督作品という一度しかない事件を共に出来た事が、誇りです。皆様のもとに届く日を楽しみにしております。
仲野太賀
1993年2月7日生まれ、東京都出身。2006年に俳優デビュー。『すばらしき世界』(21/西川美和監督)で日本アカデミー賞優秀助演男優賞、ブルーリボン賞助演男優賞などを受賞。その他の主な出演作は『南瓜とマヨネーズ』(17/冨永昌敬監督)、『母さんがどんなに僕を嫌いでも』(18/御法川修監督)、『タロウのバカ』(19/大森立嗣監督)、『静かな雨』(20/中川龍太郎監督)、『泣く子はいねぇが』(20/佐藤快磨監督)、『生きちゃった』(20/石井裕也監督)、『あの頃。』(21/今泉力哉監督)、『ゆとりですがなにか インターナショナル』(23年10月/水田伸生監督)など。待機作に『熱のあとに。』(24年2月/山本英監督)がある。
完成作を観ながら、現場の情熱がバシバシ映像から伝わってきて嬉しくなりました。滝本監督のパワフルで繊細な演出が楽しくて、毎日現場に行くのが喜びでした。素敵な組に参加できて本当に良かったです。そして、主演の岡山天音が素晴らしい。彼が演じる狂おしくも愛おしいツチヤが眩しかったです。今日はどんなツチヤに出会えるんだろう、と目が離せませんでした。輝きまくった(本編では淀みまくってる)天音と共演できてすごく嬉しかったです。
菅田将暉
1993年2月21日生まれ、大阪府出身。『共喰い』(13/青山真治監督)で日本アカデミー賞新人俳優賞、『あゝ、荒野』(17/岸善幸監督)で同賞最優秀主演男優賞を受賞。その他の主な出演作に『セトウツミ』(16/大森立嗣監督)、『何者』(16/三浦大輔監督)、『溺れるナイフ』(16/山戸結希監督)、『帝一の國』(17/永井聡監督)、『銀魂』シリーズ(17,18/福田雄一監督)、『糸』(20/瀬々敬久監督)、『花束みたいな恋をした』(21/土井裕泰監督)、『キャラクター』(21/永井聡監督)、『キネマの神様』(21/山田洋次監督)、『百花』(22/川村元気監督)、『銀河鉄道の父』(23/成島出監督)、『君たちはどう生きるか』(23/宮崎駿監督)、『ミステリと言う勿れ』(23/松山博昭監督)などがある。
伝説のハガキ職人の映画化、岡山天音主演と聞いて全身がよくわからない震えに襲われ参加しました。滝本監督のユーモアと覚悟、岡山天音の純朴な狂気、刺激溢れる現場に震えの正体はこれかと、突き詰める男たちに憧れている自分がいました。僕自身ラジオリスナーに救われた事が何度もあるので、その凄みが映画になること、嬉しく思います。公開が楽しみです。
松本穂香
1997年2月5日生まれ、大阪府出身。2015年に『風に立つライオン』(三池崇史監督)で長編映画デビュー。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17)で注目を集め、翌年「この世界の片隅に」18/TBS) で連続テレビドラマ初主演。映画主演作は『おいしい家族』(19/ふくだももこ監督)、『わたしは光をにぎっている』(19/中川龍太郎監督)、『酔うと化け物になる父がつらい』(20/片桐健滋監督)、『君が世界のはじまり』(20/ふくだももこ監督)、『みをつくし料理帖』(20/角川春樹監督)、『恋のいばら』(23/城定秀夫監督)など。2023年は夜ドラ『ミワさんなりすます』(NHK)、連続SPドラマ『自転しながら公転する』で主演を務めた。
目の前で生きるツチヤタカユキのパワーが凄まじく、言い表すことのできないその生のエネルギーみたいなものに、私は何度も喰らいまくりました。やっぱり天音さんは人間を演じる天才です。生きることのおかしみや愛しさを、ただその場にいるだけで表現できてしまう。お芝居で対峙しながら、私もちゃんとひとりの人間にさせてくれました。 この映画が持つ、なんともいえない愛しさをぜひ映画館で体感していただきたいです。
片岡礼子
1971年12月20日生まれ、愛媛県出身。『二十才の微熱』(93/橋口亮輔監督)でデビュー。『愛の新世界』(94/高橋伴明監督)、『KAMIKAZE TAXI』(95/原田眞人監督)に出演、第17回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。主演作『ハッシュ!』(02/橋口亮輔監督)で、キネマ旬報賞主演女優賞、ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。その他の出演作に、『帰郷』(05/萩生田宏治監督)、『愛がなんだ』(19/今泉力哉監督)、『楽園』(19/瀬々敬久監督)、『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』(19/平山秀幸監督)、『Red』(20/三島有紀子監督)、『空白』(21/𠮷田恵輔監督)、『バカ塗りの娘』(23/鶴岡慧子監督)、『マッチング』(24年2月/内田英治監督)などがある。
道をこうと決めたら、圧倒的に不器用な人ほど有無を言わさぬ魅力の塊と化すのかもしれない。そんな主人公の“ツチヤタカユキ”を凄まじき格闘をしながら体現してゆく岡山天音さんがだんだんとツチヤになってゆく姿に、眼が離せませんでした。またそんな彼を見て嬉々とし想いを伝える滝本憲吾監督が持つ独特の魅力にも。笑い声のする愛しき現場でした。こんな息子のおかん役は面白くて心配で離れ難かったです! 笑
前原滉
1992年11月20日生まれ、宮城県出身。事務所の養成所を経て2015年にデビュー。主な出演作に映画『あゝ荒野』(17/岸善幸監督)、『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(21/池田暁監督)、『彼女来来』(21/山西竜矢監督)、『散歩時間〜その日を待ちながら〜』(22/戸田彬弘監 監督)、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(23/渡辺一貴監督)、『沈黙の艦隊』(23/吉野耕平監督)、ドラマ「あなたの番です」(19/NTV)、「ユニコーンに乗って」(22/TBS)、「3年VR組」(23/KTV)、連続テレビ小説「らんまん」(23/NHK)、「ゆりあ先生の赤い糸」(23/EX)などがある。3月に舞台「リア王」(ショーン・ホームズ演出)の出演が控える。
ご一緒するたびに面白く、素敵になり続けている岡山天音くん×とてつもなくいい意味でクレイジーなツチヤタカユキさん×あらゆる現場を乗り越えてきた滝本憲吾監督。この組み合わせで作られる映画は面白いとかそういう言葉を超越した所に行くんだろうなあと、台本を頂いた時から感じてました。出来上がりを見て、そんな想像すらも軽く超えていました。
板橋駿谷
1984年7月1日生まれ、福島県出身。須賀川市観光牡丹大使。劇団「ロロ」「さんぴん」に所属し、舞台・映画・TV・CMと幅広い分野で活躍。主な出演作に映画『サマーフィルムにのって』(21/松本壮史監督)、『マイスモールランド』(22/川和田恵真監督)、『異動辞令は音楽隊!』(22/内田英治監督)、ドラマ「フェンス」(23/WOWOW)、「漂流兄妹〜理科の知識で大脱出!?〜」(21〜/NHK Eテレ)、舞台「ジャズ大名」(23/演出:福原充則)、「明るい夜に出かけて」(22/演出:ノゾエ征爾)、「パチンコ(上)」(22/演出:金山寿甲)、「ロビー・ヒーロー」(22/演出: 桑原裕子)など。
誰しも何かに取り憑かれたような時があるのではなかろうか。それは「夢」という“カイブツ”であると思う。周囲から見ると、熱苦しく滑稽で生きづらそうで惨めで無様で不細工で……迷惑ですらある。一体何と戦っているのか……闇の中にいるツチヤを見ていたら、昔の自分と重なった。逃げ道なしの一本道。この作品が、世に遍く“カイブツ”達に届きますように。
1979年5月3日生まれ、大阪府出身。吉本興業系の映像専門学校 NCF (なんばクリエイターファクトリー)で井筒和幸ゼミ第一期生として在学。『ゲロッパ !』(03)で初めて劇映画の現場に監督アシスタントとして参加。以後、上京し、フリーの助監督として、井筒和幸監督、中島哲也監督、廣木隆一監督 、崔洋一監督、西川美和監督、タナダユキ監督などの作品に携わる。2007年には、ドキュメンタリー『サディスティック・ミカ・バンド』(監修: 井筒和幸)で監督デビュー。監督としてCMやPV、テレビドラマを多数制作しており「私が黄金を追う理由〜映画『黄金を抱いて翔べ 』スペシャルドラマ〜」(12/BeeTV)、「女はそれを許さない」(14/TBS)、「ポイズンドーター・ホーリーマザー」(19/WOWOW)、「運命警察」(22/テレビ東京)、「サワコ 〜それは、果てなき復讐」(22/BS-TBS)等の作品を手掛ける。現在は2024年配信予定のアクションドラマを撮影中。
※括弧内は公開年
カイブツと呼ぶなら呼べばいい 破壊なくして創造なし
そんな一人の人間の物語です。是非とも映画館で笑ってください。
成宏基

エグゼクティブプロデューサー・脚本
株式会社アニモプロデュース 代表取締役。1983年 東京都生まれ。大学卒業後、映画会社シネカノンに入社。井筒和幸監督や松岡錠司監督などの作品にて映画製作業務に従事。2010年に(株)アニモプロデュースを設立。映画『EDEN』(12/武正晴監督)、『メタルカ-METALCA-』(14/内田英治監督)など多数の作品のプロデューサーを務め、エグゼクティブプロデューサーとして映画『愛がなんだ』(19/今泉力哉監督)、『彼女が好きなものは』(21/草野翔吾監督)を企画製作。『愛がなんだ』は単館公開ながら全国のシネコンに拡大公開されスマッシュヒットを記録。邦画プロデュースの他、2016年より外国映画の配給に取り組み、2020年公開の韓国映画『はちどり』(キム・ボラ監督)の配給で日刊スポーツ映画大賞外国作品賞、優秀外国映画輸入配給賞奨励賞を受賞。2020年に配給会社イーチタイム(株)を設立。映画『JOINT』(21/小島央大監督)、『茶飲友達』(23/外山文治監督)の配給を手がける。
足立紳

脚本
1972 年 6 月10日生まれ、鳥取県出身。相米慎二監督に師事。脚本を手掛けた『百円の恋』(14/ 武正晴監督)で第39回日本アカデミー賞最優秀脚本賞受賞。他脚本作品に、映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18/ 湯浅弘章監督)、『こどもしょくどう』(19/日向寺太郎監督)、武正晴監督『嘘八百シリーズ』(18, 20, 23)、『アンダードッグ 前編・後編』(20)、ドラマ「拾われた男」(22/NHK BSプレミアム、ディズニープラス)など。現在放送中のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」(23)の脚本も担当。また監督作に『14の夜』(16)、『喜劇 愛妻物語』(20)、『雑魚どもよ、大志を抱け!』(23)などがある。
山口智之

脚本
1988年生まれ。埼玉県出身。大学卒業後、脚本家の加藤正人、足立紳に師事。主な脚本作品に、映画『こどもしょくどう』(19/日向寺太郎監督)、『きばいやんせ!私』(19/ 武正晴監督)、ドラマ「ケーキの切れない非行少年たち」(23/NHK BS1)などがある。
村山☆潤

音楽
1983年4月18日生まれ、鹿児島県出身。学習院大学文学部哲学科卒業。大学在学中からプロ活動を開始。様々なバンド活動を経て、2013年、Sony MusicよりFLOWER FLOWERのキーボードとしてメジャーデビュー。現在はプロデュース、作詞作曲、編曲を行う一方で、映画、アニメなどの音楽を担当。GLAY、エレファントカシマシ、ずっと真夜中でいいのに。など様々なアーティストのライブサポートも行っている。
鎌苅洋一

撮影
1979年生まれ、大阪府出身。撮影技師として『俳優 亀岡拓次』(16/横浜聡子監督)で商業映画デビュー。『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17/石井裕也監督)で第72回毎日映画コンクール、第39回ヨコハマ映画祭で撮影賞を受賞。そのほかの主な作品は、『花束みたいな恋をした』(21/土井裕泰監督)、『茜色に焼かれる』(21/石井裕也監督)、『1秒先の彼』(23/山下敦弘監督)、『月』(23/石井裕也監督)などがある。
ツチヤタカユキ

1988年3月20日生まれ、大阪府出身。高校時代からテレビやラジオ番組にネタを投稿。21歳の時に、携帯電話から大喜利のお題に答えられる視聴者参加型番組「着信御礼!ケータイ大喜利」(06〜16/NHK総合)で、最高位「レジェンド」の称号を獲得。その後、「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)、「伊集院光 深夜の馬鹿力」(TBSラジオ)など数々のラジオ番組や雑誌への投稿が圧倒的な採用回数を誇り、“伝説のハガキ職人”と呼ばれるようになる。数々のアルバイトを経て芸人による招聘で上京。ラジオの構成作家を志すも、“人間関係不得意”のため挫折。大阪に帰郷後、2017年に自身の赤裸々な日々を綴った「笑いのカイブツ」を出版する。近年は、小説の執筆や、新作落語の創作、新作公演の作・演出を手掛けるなど吉本新喜劇の作家としても活動。2019年に新作落語「最悪結婚式」で、落語協会新作落語台本佳作を受賞。「目撃! にっぽん『もう一度笑かしたい~“伝説のハガキ職人”再起の日々~』」(20/NHK総合)では、落語の創作に挑む様子が特集で放送された。
著書
2017年
「笑いのカイブツ」(文藝春秋/2019年 文春文庫)
2018年
「笑いのカイブツ」(コミカライズ/秋田書店/漫画:史群アル仙)
「オカンといっしょ」(文藝春秋)
2019年
「安城さんの見る世界」(自主制作)
「ロブスターガールフレンド」(自主制作/詩集)
2021年
「前夜」(小学館)
2023年
「マシュマロホイップ・ギャング」(自主制作/詩集)
「笑いのカイブツ」(文春文庫)

“伝説のハガキ職人”による、心臓をぶっ叩く青春私小説。
ツチヤタカユキ氏が初めて書いた自伝的私小説。WEBメディア「cakes(ケイクス)」での連載が評判となり、出版社からの書籍化希望が殺到。2017年に文藝春秋より単行本として発売された。刊行直後に増刷が決定するなど大きな反響を呼び、2019年には単行本刊行後を濃厚に描いた「文庫版あとがき」を収録した文庫が発売された。
※順不同・敬称略
ツチヤタカユキという人間の持つ笑いへの情熱は、
お笑い芸人である自分ですら簡単に羨ましいとは言えないくらい狂気的なものでした。
私は絶対ツチヤにはなれないし、
おそらく自分はツチヤが思う間違った人間なんだと思います。
こんな才能がまだこのお笑いの世界には潜んでいるのだと思うとワクワクします。
そんなツチヤが文字通り命を削って書いたベーコンズのネタは、
台本を見た時点で実際に動いている2人が想像できるほど
ベーコンズへの愛に溢れているものだと思いました。
またそのネタを表現するベーコンズのお二人のパワーもすさまじく、
初めてお二人の漫才を見せていただいた時から、
人間と人間がぶつかり合う、
漫才の本質のようなものがすでにありました。
私はコンビでツッコミという役割ですのでその点で言うと、
仲野太賀さんには天性のツッコミの才能があるように思います。
ただ上手いだけでなく、
その人にしかできないテンポやトーンで
自分自身をさらけ出すようなツッコミこそが魅力的なツッコミであり
芸人としての色気だと僕は思いますが、
仲野太賀さんには最初からそれが備わっていると感じたからです。
このような素晴らしい作品、
素晴らしい漫才に少しでも関わらせていただいたことを非常に光栄に思います。
松井ケムリ令和ロマン/『笑いのカイブツ』漫才指導
どうも、ベーコンズに漫才を教え芸人・令和ロマンくるまです。
俳優さんという芸人の上位職業の方への恐れをグッと堪え、
板橋さんと仲野さんに熱血指導を施しました。
濃密な授業を行う予定が、
板橋さんと仲野さんのほぼ文句のないパフォーマンスを見せられ、
脂汗かきながら搾り出した小ボケや、
重箱の隅を突くような所作への指摘を繰り出したものの、
溢れる才能がそれらを一発で吸収し、
私の苦笑いと共に立てた親指で稽古は終了しました。
そんな苦い思い出を振り切って鑑賞させていただきました。
圧巻でした。
開始1秒から心を抉られたままエンドロールでした。
人を笑わせたい衝動と、群衆に紛れることができない身体のミスマッチ。
これほどの不幸はそうそうないでしょう。
だって勉強やスポーツだったら流石に報われますよこの努力量は。
これぞお笑いの難しさで、儚さで、
くだらなさだと再認識させられましたね。
芸人を扱う作品は数多くあれど、最もリアルな映画、
リアリティがあるんじゃなく、リアルな映画です。
髙比良くるま令和ロマン/『笑いのカイブツ』漫才指導
社会不適合者。生きているすべての時間を笑いに全振りした。
そうするとカイブツの誕生だ。与えられたお題を光の速さで獰猛に食い破っていく。
笑いの世界を笑い以外の方法でぬるりと生き抜く奴らを破壊する。
その果てで何を笑わすのかといえば社会だというパラドックス。
居酒屋でのカイブツの咆哮と鎮魂のシーンめちゃくちゃよかった。
上田誠劇作家・演出家/ヨーロッパ企画
カイブツは、どこか色っぽく美しい。
それはきっと真っ直ぐに純粋に魂を燃やす、生命の魅力故。
ツチヤさんの生き様は、観る人の魂に火をつけます。
そしてこの映画が、映像が、岡山さんの演技が燃料となり、
更に魂の火を高く強く燃え上がらせてくれることと思います。
七野ワビせん旧:史群アル仙/漫画家
お笑い客とラジオリスナーが知りすぎた人物の究極にパーソナルな苦悶を
岡山天音の身体が普遍に昇華しようと格闘するドキュメント。
人間関係不得意な人間が炙り出される残酷な時代に
一問一答的に自己像を切り刻み縁取る苦役列車は
「大喜利」の生々しさそのものだ。
原作小説の深すぎる泥濘に
少しだけ陽が差して歩ける道になった。
大島育宙芸人/映画・ドラマ評論
おもしろいことを考えるのはつらく、しんどい。
だから、僕も放送作家を辞めるのかもしれない。
おもしろいに憑かれ飲み込まれていく男の姿があなたの目には悲劇に見えるか?
喜劇に見えるか?確認してほしい。
新たな青春映画!痛く、辛く、なにより、おもしろい!
鈴木おさむ放送作家
笑いのカイブツ。
彼が笑いのカイブツなのか、
それとも彼が笑いのカイブツに喰われたのか。
とにかく人生において中毒性にも似た夢中になれる何かに、
天才を超えてカイブツになれること、
カイブツに喰われることは、
なんて快感なんだろう!
桐谷健太俳優
ツチヤ、そうだよ。ツチヤ、正しいよ。
ツチヤ、そうじゃないよ。ツチヤ、間違ってるよ。
ツチヤ、生き延びちゃった。
ツチヤ、今もたまに地獄だよ。
ツチヤ、ぼくの心の檻からもう二度と出てくるな。
ツチヤ、そこでこれからもぼくを見張れ。
ぼくがぼくでいるかどうかを。
志磨遼平ドレスコーズ
笑いに取り憑かれながら、
笑いを信じるしかなかったツチヤタカユキの人生が、
全然笑えないという渾身のボケ。
映画で観ても、あまりに切実すぎて、
やっぱり全然笑えない。
それどころか、笑い以外のほとんどの感情がそこから伝わってくるという、
やっぱり渾身のボケ。
尾崎世界観クリープハイプ
好きだと感じた何かへの
自分のルールを譲らない生き方に努力なんか出る幕はない。
好きなら自分は二の次、自分を追い詰める・苦しめるも当然、
満足にすら留まってなんかいられない。
ほんの一瞬だけの喜びを繋ぐ貪欲な呼吸を、
つまらない現実との境を曖昧にする没頭・忘我の息遣いを、
ツチヤタカユキが魅せてくれる!
新井英樹漫画家
30歳を過ぎて、それなりに大人になって、
たくさんの面倒な感情を小さく畳んで仕舞おうとしてたのに、
直接さわって広げられた。
向き合うのは苦しいけれど、すごく必要な映画だった。
この映画がいつか他人事に思えたら
僕はもう終わりなのでその時は殺してください。
林田洋平ザ・マミィ/お笑い芸人
2020年の夏、ツチヤタカユキと一緒にネタを作ったとき、
小説『笑いのカイブツ』からそのまま飛び出してきたようなネタ作りの姿勢に度肝を抜かれた。
2023年の秋、映画『笑いのカイブツ』を見た。
閃光の中でしか生きられないツチヤタカユキは
この映画を冷めた目で見ているはずだと思うが、
僕は一緒に作業した夜を思い出して懐かしく感じた。
立川吉笑落語家
深夜ラジオに投稿をしていた頃、
自分のネタが読まれるかドキドキしながら放送を聴いていると
毎回のように採用されていたのがツチヤタカユキさんだった。
圧倒的に不器用で、歪なほどにまっすぐ。
劇中のお笑いに魅了された青年がどんどん狂気を帯びていく様子に
ほんの少し羨ましさを感じた。
そうか、僕はカイブツになれなかったんだ。
森本晋太郎トンツカタン/芸人
笑いに取り憑かれた男の半生を観に、
ぜひ映画館へお越しください。
『笑いのカイブツ』、どんどん引き込まれること間違いなしです。
元ハガキ職人で芸人の僕が保証します。
では、整いました!
『笑いのカイブツ』とかけて、船に乗るのが楽しみととく、
その心は、公開(航海)が待ち遠しい、、
ねづっちです!
「謎かけ」に取り憑かれた男が見たい場合は、
ぜひ演芸場にお越しください。
ねづっちお笑い芸人
周りからどう思われようと自分の命がどうなろうと、
ネタを作り続けるツチヤのカイブツ級の生き様に飲み込まれた…!
果たしてここまで笑いに向き合っているのか?
なんだか自分の芸人人生がちっぽけに見えてしまった。
こんな風に狂って笑いを追い求めてもみたい。
己の信じる道を突き進んでいる人に観てほしい映画だ!
あんこ映画バカ芸人
「俺は“正しい世界”で生きたいねん!」
とツチヤが叫んだ時、涙が溢れた。
鋭敏すぎる感受性が剥き出しになったカイブツを演じる岡山天音は
『キング・オブ・コメディ』のロバート・デ・ニーロや
『ジョーカー』のホアキン・フェニックスにも負けていない!
森直人映画評論家
突き詰めるほど独りになり、誰も笑えなくなっていく。
社会と繋がり、他者を喜ばせる手段だったはずなのに。
純粋すぎた表現者の成れの果て。哀しくて、羨ましい。
SYO物書き
適当に仲良くやってる世の中に唾を吐き、
自分をとことん追い詰め、狂ったように笑いにこだわりながらも、
本人は決して笑顔を見せない。
そんなカイブツを岡山天音が大熱演。
笑いをたったひとつの武器にして、
生き辛い世の中に喧嘩を売った男の青春は、
ヒリヒリするほどイタくて可笑しい。
村尾泰郎映画/音楽評論家