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ハリウッド女優ルーニー・マーラを迎え気鋭のメキシコ人監督アロンソ・ルイスパラシオスが描いたのは「厨房=世界の縮図」。約70年前の戯曲「調理場」を原作に、今も昔も変わらない国同士の格差と埋まらない溝を盛り込んだ痛烈かつユーモラスなエンターテインメントに仕上げた。監督が第64回ベルリン国際映画祭で最優秀新人賞を受賞してから一貫して用いてきたドキュメント手法が本作にも盛り込まれ、圧巻の14分間ノーカットシーンは必見だ。

STORY

ニューヨークの大型レストラン「ザ・グリル」の厨房は、いつも目の回るような忙しさ。ある朝、店のスタッフ全員に売上金盗難の疑いがかけられる。加えて次々に新しいトラブルが勃発し、料理人やウェイトレスたちのストレスはピークに。カオスと化した厨房での一日は、無事に終わるのだろうか…。

CAST

ラウル・ブリオネス/ペドロ
映画と舞台において、多才で確かな演技を示し、業界内や批評家の間で広く評価されてきた。『Asfixia(原題)』(19年、Kenya Márquez監督)で2020年のアリエル賞最優秀助演男優賞を受賞。『コップ・ムービー』(21年、アロンソ・ルイスパラシオス監督)では2022年のアリエル賞最優秀主演男優賞を受賞。『虚栄の果て』(22年、アレハンドラ・マルケス・アベーラ監督)では2023年に3度目のアリエル賞となる最優秀助演男優賞を受賞した。出演作は『Crónica de castas(原題)』(Canal Once)、『クラブ・デ・クエルボス』(Netflix)、『La Templanza(原題)』(Amazonプライム)、『Los Enviados(原題)』(Paramount+)など。
ルーニー・マーラ/ジュリア
1985年4月17日、アメリカ・ニューヨーク州生まれ。アカデミー賞ノミネート2回、英国アカデミー賞や全米映画俳優組合賞でノミネートなど、数々の受賞歴を誇る。デヴィッド・フィンチャー監督『ソーシャル・ネットワーク』(10)で注目を集め、同監督のスリラー映画『ドラゴン・タトゥーの女』(11)のリスベット・サランデル役でアカデミー賞主演女優賞に初めてノミネート。スパイク・ジョーンズ監督『her/世界でひとつの彼女』(13)、トッド・ヘインズ監督の恋愛映画『キャロル』(15)で主要キャラクターを演じ、どれも批評的、商業的成功を収めた。『キャロル』ではカンヌ国際映画祭女優賞を受賞し、アカデミー賞助演女優賞にノミネート。その後もガース・デイヴィス監督『LION/ライオン ~25年目のただいま~』(16)、デヴィッド・ロウリー監督『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』(17)に出演している。活動休止を経て、ギレルモ・デル・トロ監督『ナイトメア・アリー』(21)やアカデミー賞脚色賞を受賞したサラ・ポーリー監督『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(22)に出演し、演技が高く評価された。慈善活動でも知られ、ナイロビのスラム街、キベラスラムに住む子供やその家族の地位向上を支援するUweza財団に携わっている。動物の権利や環境保護の熱心な支持者でもある。俳優ホアキン・フェニックスとの間に生まれた二子の母親でもある。
アンナ・ディアス/エステラ
1996年生まれ、ユカタン半島の都市カンペチェ出身のメキシコ人俳優。2024年、本作『ラ・コシーナ/厨房』で長編映画デビュー。エドガル・ニト監督やイサーク・チェレム監督の作品への出演も控えている。10年以上にわたり舞台への出演を続けてきた。ユカタン芸術大学で学び、現在はメキシコシティに在住。今回の『ラ・コシーナ/厨房』の撮影で初めてNYに降り立った。

STAFF

アーノルド・ウェスカー/原作
1932年5月24日、ロンドン、イースト エンド生まれ。兵役のため、18歳のときイギリス空軍に編入。除隊後、大工の徒弟、家具屋、書店員、鉛管工、農夫など種々の職業を転変し、さらに調理場の給仕などをして働きながら映画技術学校に入学。1958年リンゼイ ・アンダーソン監督の推挙によって、「大麦入りのチキンスープ」(演出ジョン・デクスター)を上演。その成功とともに、五十年代後半の演劇革新の担い手となり、現代イギリスのもっともめざましい芸術思想運動の旗手として活躍。反戦団体のデモに参加し投獄経験もあり、支配的なイギリス国家に対して挑戦的な戯曲を書き続けた。本作の元となった「調理場」はウェスカーが25歳の時「オブザーヴァー」紙の戯曲募集に応募するために初めて書いた戯曲で(当時は落選)、2作目として書いた「大麦入りのチキンスープ」上演の成功後、1959年に初演。その後『野生のエルザ』で知られるジェームズ・ヒル監督により『The Kitchen(原題)』(61)として映画化、そして1994年に当時ロイヤル・コート劇場のディレクターだったスティーヴン・ダルドリー監督(『リトル・ダンサー』)の演出で再演。その後2006年にナイトの称号を授けられ、国立劇場で再演されている。2016年死去、享年83歳。
アロンソ・ルイスパラシオス/監督・脚本
1978年9月11日、メキシコシティ生まれ。ロンドンのRADA(王立演劇学校)で学ぶ。最初の長編作品『グエロス』(14)がベルリン国際映画祭の初監督作品賞など世界各地で40以上の賞を受賞。2018年、長編第2作『Museo(原題)』ではベルリン国際映画祭の銀熊賞(脚本賞)、アテネ国際映画祭とモレリア国際映画祭の監督賞を受賞した。長編第3作『コップ・ムービー』はベルリン国際映画祭銀熊賞(編集部門)、アリエル賞の最優秀長編ドキュメンタリー賞に輝いた。本作『ラ・コシーナ/厨房』は初の英語作品として2024年のベルリン国際映画祭コンペティション部門・トライベッカ国際映画祭など19の映画祭・映画賞に出品・ノミネートされ、12受賞を獲得している。ほか2018「ナルコス メキシコ編」ep.07,08(Netflix)、2025「キャシアン・アンドー」2つのep(Disney+)など世界配信ドラマの監督としても活躍中。